地方のホテルなど行くと、中国ではホテルのドアを開けっ放しでいる様子を多くみかけます。
その理由は、「単身で出張に来ていて、寂しいからいつ誰が話し相手に入って来てもいいように開けてある」と言うことです。
ある意味驚愕です。
北京の大学などでも全寮制だと8人部屋などの大所帯で、プライバシーなんて全然ありません。
日本で開けっ放しにしている旅行者やビジネスマンなど見たこともありませんね…。
寮と言っても2人部屋が多く、多くても4人部屋じゃないでしょうか。
これは日本と中国の立地や歴史にも関係がありそうです。
日本は「心穏やかに暮らせる」国なのだと思います。
島国で海に囲まれ、ほぼ単一民族の中で自分のことを考えながら生きて行けます。
でも中国はどうでしょう。
多くの国に四方を囲まれ、ものすごく広い領土(日本の約26倍)で言語や宗教、食事や生活習慣などが異なる56もの民族が、14億4349万7378人(2020年11月1日現在)も共生しているのです。
常に競争を強いられていて、これじゃ誰を信じて誰を疑えばいいのかすらわかりませんね!
だからこそ自分の五感を信じて、「この人なら大丈夫」という友人を一人でも多く作って自分の未来の成功へと繋げてきたのです。
だからこそ広く社交的に色々な人と交流をしてみて、自分との距離を図りつつも、自分の人生に役立てていったということです。
それほどまでに社交的と言われてきた中国人ですが、ここ最近では深刻な問題が起きています。
若者の「社恐」つまり、日本でも大きな問題として捉えられている「引きこもり」です。
この「社」は会社の社ではなく、社会の「社」です。
つまり「世間を恐れて表に出なくなる」という言葉です。
日本のように「8050問題」がもっと大規模な人数で起こって来ることは容易に予想がつきます。
元々の国民の総数が日本とは大違いですからね…(^^;)
なんでこんなに「社交的」ではない人々が一気に増えてしまったのでしょう…
その理由としては、1980年代生まれ以降はほぼすべてが「一人っ子」で、物心がついた時から孤独に慣れていることが挙げられるでしょう。
↑ 「男の子の方が多い」というおかしな現実が起こっています…
今の日本の少子化を考えると、「一人っ子」政策などとんでもありませんね…
昔病院で長男を出産した時、同室の中国人の女性と同じ日に出産したので一緒に授乳に行った時の会話を思い出します。
- 「本当に男の子でホッとしたの…いずれ中国に帰るから女の子じゃダメなの」
- 「そうなのね…」
- 「あなたも男の子ねぇ!デカしたねぇ!!」
- 「う、うん…そうね…デカしたのかしら…」
2014年まで続いた一人っ子政策により今でも中国の少子化は止まらなくなっていると言います。
少子高齢化の規模も日本より莫大なので、今後の政策はとても大事になってくると思います。
中国社会は共働きが当たり前なので、孤独を恐れないいわゆる「カギっ子世代」が増えたのです。
↑ 少子高齢化社会は日本の問題だけではなさそうです
そんな中でもSNSは発達しているため、「社恐」仲間はネットで繋がっています。
「社恐」の類語に「社死」という言葉がありますが、これはもう「社会的に死んじゃった」という意味で使われているみたいです。
上海の市民たちがコロナ禍を理由に「封城」(ロックダウン)された時も、この言葉がネット上で頻出しました。
若者は、堂々と政府への批判は出来ないので、バーチャルな世界やSNS上で不安や不満を共有することが多いと言います。
↑ https://japanese.cri.cn/2022/06/18/ARTI2B32naY0U3vpErD6f9EI220618.shtmlより引用させていただきました
「新3大アイテム」の一つがこのゲーミングチェア。
3大とは食器洗浄機・温水便座・ゲーミングチェアということです…。
かなりの国民がネットゲームの世界を楽しんでいることがわかります。
ロックダウンについてはこれからもネット上の色々な所で、そのやり方への不満が上がってきそうです。
↓ 上海のロックダウンについての記事はこちら
どこの国へ行っても必ずと言っていいほど「中華街」があり、同じ国の出身ということだけでもの凄い絆を感じられてきた中国の方々…。
↑ どこの国でも中華街にはお手頃で美味しい麺がある…そう思っています
旅行も大人数でツアーを組まれて楽しそうに歓談しながら世界の観光地を観て周っていた中国の方々…。
そういう光景はもう見られなくなっていくかもしれませんね。
今の若者は私達日本人と同じように、少人数で旅行し、一人旅を楽しんだりするようになっていくのかもしれません。
未来を受け継いで行くはずの若い世代に現れたこの異変は、どうしても中国の年配者にとっては気になる変化なのではないでしょうか。