こちらはヒューマンドラマではありますが、20年前の11歳の夏休みに父親と過ごした娘がビデオでその日々を回想しているという設定の映画です。
娘の名前はソフィで、11歳の夏休みは特別なものでした。
父と母は離婚していて、ひと夏は完璧に父と娘の2人きりで過ごしています。
設定としては20年後に一本のビデオテープからその日々を思い起こし、子供だった自分が父の本当の心の中を知り得なかったのはその若さゆえだったのだろう…と知るという感じです。
ハッキリとその20年後に彼女がどんな生活をしているかは描かれていません。
隣では女性が眠り、赤ちゃんの泣き声が聴こえています。
どんな人生を送って、その当時の父の年齢まで生きてきたのか…。
そこはしっかりと描かれてはいないのですが、11歳だった自分は父をどれだけ理解して一緒にいたのだろうかと振り返っていることだけは分かります。
父は31歳という設定だったので、20歳の時に生まれた娘で、ソフィのお母さんとは上手くいかなくて別れてしまったのでしょう。
監督はシャーロット・ウェルズという方で、こちらの映画が長編デビュー作のようです。
↑ 映画『aftersun/アフターサン』公式サイト 5/26(金)公開より引用させていただきました
父親のカラム役はポール・メスカル、娘ソフィの役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオが演じています。
↑ 映画『aftersun/アフターサン』公式サイト 5/26(金)公開より引用させていただきました
どこか鄙びたリゾート地はトルコなんだそうです。
二人にとっては、それがどんなリゾート地なのかは全く関係なかったのだと思います。
ただただ、父と娘は互いを愛し、大切な時間を惜しむように過ごします。
カラムはちょっと「鬱」っぽい症状もありながら、娘といる時は出来る限り冷静に振舞っています。
ソフィがそのリゾート地のバイクゲームで知り合ったマイケルという少年とキスしているのを見ると、カラムは1人で夜の海に入っていき、部屋で全裸で眠ってしまいます。
31歳という年齢は、どこかまだ青年のような部分を残していると思うので、私はそういう行動には違和感を感じることはありませんでした。
思春期のソフィ―が少しずつ大人になっていく姿を間近でみることもカラムにとっては耐えがたかったのかもしれませんね!
「楽しい時間はあっという間」
それは旅に出た時にも感じますが、大好きなお父さんと一緒にいる時間はもっと早く過ぎていったのだと思います。
↑ GCC拡大版! 『aftersun/アフターサン』シャーロット・ウェルズ監督インタビュー。 | ガールフイナムより引用させていただきました
「観光」という視点で観ても面白いシーンが沢山ありました。
スキューバダイビングをしたり、身体に泥を塗り合ったり、プールサイドで日焼け止めを塗ってもらったり…
毎日が極上の時間だったことが分かります。
↑ https://moviewalker.jp/mv80720/より引用させていただきました
監督自身がスコットランドの出身で、カラムの設定もそうであることから、自分をカラムに投影させていたような気もしますが監督は女性です。
ソフィの視点で若い頃に亡くした父を思い描きながら撮ったものだったのかもしれません!
ストーリーはめちゃくちゃシンプルだけど、
- 父親カラムはどこか幼稚で頼りない部分がある
- 娘ソフィはどこか利発的でしっかりした部分がある
ここがこの映画の大事な要素なんだと思いました。
↑ 映画『aftersun/アフターサン』公式サイト 5/26(金)公開より引用させていただきました
もう1つは、二人が安ホテルのベッドで眠るシーンが多く映っています。
これは夢うつつの中の親子の「半分現実で半分夢」のような時間が35㎜フィルムに収められた二人の映像とともに、ずっと記憶に刻まれていくことを意味しているのかもしれません。
カラムは腕を骨折して石膏で固定していますが、この旅の間にそれを外します。
その後もあまり「生きていくこと」に積極的ではないのでは?と思えるシーンが随所で描かれています。
↑ トルコと言えば…まずはイスタンブールに行ってみたい(#^^#)
だけどハッキリ「死にたい」と言っている訳でも、「どうでもいい」と現実から逃げている訳でもないのです。
ソフィの誕生日のサプライズにさえ、笑顔になれない父親カラム。
どこを切り取っても最高なバカンスなのに、どこか寂しさと息苦しさを感じる映画だなって思いました。
日本円で15万円ぐらいのトルコ絨毯!
↑ そういう絨毯って一生ものなんだろうと思います!
それを買いたいけど…と悩むカラムが後で1人で買いにいきます。
私はなんとなくそのシーンが印象的でした。
そしてその絨毯は別のシーンでも登場します!
良かったら、Amazonプライムで観れますので観てみてください。