監督は秋田生まれの佐藤快磨で、長編作はこれが初作品となります。
病院で観た映画の第3弾です!
地元秋田では「佐藤監督を応援する会」を立ち上げ、男鹿の魅力と地域の活性化にも繋げたいと様々な協力をしてきたようです。
企画は是枝裕和監督が行っているところからも、この映画への期待は観る前から高かったです。
物語の舞台は秋田の男鹿半島で、ここでは伝統的な「ナマハゲ」でも有名です。
20代後半にも差し掛かった1人の男が、「子供ができちゃった」のに、ちゃんと大人になれず妻に愛想をつかされてしまうというのがストーリーの始めの展開です。
男の名前は後藤たすく(仲野太賀)。
妻ことね(吉岡里帆)は、たすくが酒は飲まないからと約束して出かけた「ナマハゲ」の夜に完全に彼を見捨てることになってしまうのです。
断れず酒を飲んでしまったたすくは裸をTVの前に晒し、「ナマハゲ」のイメージまで失墜させてしまい男鹿にいられなくなって、逃げるように東京に住みます。
2年も東京で適当に暮らしたたすくでしたが、妻と娘への想いは捨てきれず帰ってきます。
そんなたすくを母親(余貴美子)と親友亮介(寛一郎)は受け入れるが、他に彼を擁護する者はいなかった。
どんなに許して欲しくても、妻ことねの心は決まっていました。
「やり直すことは出来ない。私結婚するの!」
車の中で2人が話すシーンは圧巻です!
どう頑張ってもどうすることも出来ないたすくの想いをファインダー越しに撮れば、きっとこんな風に写るという撮り方でした。
そして厳しくも優しいラストシーン。
「全てのケジメを付けるために、今日だけはやらして下さい!」
全てを物語るこのラストシーンが一番の見どころだろうと思います。
私はこの映画では、男と女の大きな違いみたいなものが浮彫りになっていると終始感じていました。
勿論、誰もがという事ではありません!!一部の男女のことだと思ってください。
- 男は「どこか夢うつつの中で少年のような幼稚な振る舞いをしてしまう」
- 女は「現実の中で次にくる未来を予測して賢い選択を模索してしまう」
ということです。
20代後半ともなれば、「父親なんだからしっかりしてよ!」と問われるのは当たり前で、彼がやったような「酒の力で裸になることで、伝統も家族もぶち壊し!」という未来をも予想できなかったのか??となればやっぱり考え方が幼いのです。
ただ、「このたすくという男はどこまでも幼稚な所があるな!」と映画全編を通して感じられ、私が妻でも同じ決断をするのではないか?と思ったりもしました。
ただ、私は映画からかけ離れて考えてみても、
「男性というものは大なり小なりどこかロマンチストな一面を持ち合わせていて、それが現実生活の前ではとても幼稚に映ることがあるのではないだろうか…?」
ということを感じる場面をこれまでも時々見聞きしてきました。
そこが許せる範囲なのかどうかは、女性によっても違うし、おかれた社会環境によっても違うかもしれませんね。
この「泣く子はいねぇが」という映画は、男性にこそ観てほしい映画です。
↑ 鵜ノ崎海岸も映画に出てきます!風が強かったなぁ~
観光と言う意味合いにおいても、この秋田県男鹿市は注目をしてしまいました!
男鹿市の「なまはげ館」には本物のなまはげを感じられる展示が数多くあります。
また、鵜ノ崎海岸では映画でたすくの母が「ババヘラ」を売っていましたが、それも名物となっていて夏場は実際に売られているようです。
↑ https://oganavi.com/event/より引用させていただきました
五風なまはげライブの様子です。
これはちょっと食べてみたいです。
↑ https://nanmoda.jp/2016/07/329/より引用させていただきました
ババがヘラで作ってくれるアイスだから「ババヘラ」って…(笑)
映画でも実際に出てくる「男鹿水族館GAO」も男鹿に行ったら、観てきたい観光名所ですね!
入院中に観たので、主人公たすくの心の痛みと、実際のお腹の痛みが混ざり合って不思議な感覚に陥りました。
観終わってもどこかスッキリとはしませんでした。
巻き戻しは出来ない人生だからこそ、子を持ったら、しっかりと未来を予測できる人間であるべきで、責任ある行動をとることは大事なのかなと思ったりもしました。
「若気の至り」というには、失うものが大きすぎたせいでしょうね…( *´艸`)