これはNetflixでの視聴でしたが、いくらアニメになっているとは言え、本当に残酷な内容でした。
だけど思うことは「目を背けてばかりはいられない」ということです。
今では現実に戦争も起こってしまい、その影響が物価高という部分で日本でも影響が出ています。
そこの国だけで「そっとしておけばいい」という問題ではどんどん無くなってきているのでは?と思ったりします。
この映画の題名は、
という2つの意味を持っています。
↑ https://www.truenorth.watch/より引用させていただきました
北朝鮮の政治犯強制収容所で、過酷な毎日を生き抜く日系家族とその仲間たちの姿を3Dアニメーションで描いた作品です。
伝統あるワルシャワ国際映画祭ではフリースピリット部門の審査員特別賞、ナッシュビル映画祭では長編アニメ部門グランプリを受賞するなど、海外でも話題となった作品です。
あまりにも衝撃的な内容だからアニメーションにすることで何とか観ていられるというものになったのではないでしょうか。
2021年7月に日本でも劇場公開されています。
1960年代の帰還事業で日本から北朝鮮に移民した家族の物語。
私の祖父母はアメリカへ行った移民でしたから、私は日本で生まれましたが日系3世になります。
行く場所(国)が違っていたらと思うと…涙が出そうです。
実際に平壌で幸せに暮らすパク一家は、父の失踪後、家族全員 が突如悪名高き政治犯強制収容所に送還されてしまうのです。
当時は「地上の楽園」ということで多くの日本人が北朝鮮に渡ったという歴史があります。
その数はなんと9万3千人以上だったと言います。
実際は貧困と強制労働に従事させられ、自由が全くない恐ろしい現実が待っていたのです。
主人公のヨハンは妹のミヒと共に幼い頃に母とともにこの政治犯強制収容所に入れられます。
↑ https://whatsnewonnetflix.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC/1966467/true-north-2020/jaより引用させていただきました
収容所内の苛酷な生活の中でも3人は懸命に生きていきますが、やがてヨハンは道を外していきます。
敵側(人民軍)の犬になれば、美味しい餌にありつけることを知るのです。
ですが、母の死によって現実に引き戻されて、「人間としてどう生きたいのか」を模索します。
物語の終盤近くで父の所在がわかります。
「完全統制区域」という場所がありますが、そこから生きて出てはこれないと言われている収容所よりはるかに恐ろしい場所にいたのです。
こんな極限の生活と労働と罰則の中で、「人間が人間らしく生きて行くにはどうすればいいのか?!」を私達に教えてくれます。
最後まで絶望だけでなく、希望と勇気をみせてくれる映画でした。
監督は清水ハン栄治さん、1970年、横浜生まれの在日コリアン4世です。
実際に収容所を体験した方達の話を元にこの映画は作られています。
「観客の皆さんの心を動かし、声なき人々の声となるプロジェクトになれば幸いです。」と話しておられますが、こういう形でしか私たちは北朝鮮のことをなかなか自身のことのように感じることは出来ません。
観始めた最初の頃は、「これなら自殺した方がマシだ!」と思いました。
ところが、後半になって「自殺すれば家族が罰を受ける」という事実を知ります。
「死ぬことも自由には出来ない」現実があの国にはあるようです。
↑ https://globe.asahi.com/article/13452390より引用させていただきました
平和ボケと言われている日本や韓国でも、苦しみから逃れようと「自殺」を考える方も年々増加しています。
- 身体に危害を与えられ
- 食べ物もろくに与えられず
- 苛酷な労働に従事させられ
- 寒さや暑さを防ぐことも出来ない
そんな中で「自分は何のために生きているのか…」
「俺らは食べて・寝て・クソしてを繰り返しているだけだ!!」という主人公の台詞がありますが、それだけでも彼らは必死なのです。
そんな中で互いに思いやり、手を差し伸べながら生きている収容所の人々はとても強くて暖かいです。
「人間としての尊厳は死ぬまで持ち続けたい!」と思える映画でもありました。
↑ 「TRUE North」の意味…羅針盤が北を指すことから…深いです
私が大好きな旅行なんて、比べてしまえば宇宙レベルの贅沢で本当に幸せなことなのです。
こういう映画・アニメは苦手だから観られない…という方も多いと思います。
私は真実に近いと感じ、しっかり最後まで観ました。
真実は想像を超えるほど残酷ですが、今なお北では収容所が年々拡大されています。
面積も上空写真で観るともの凄く拡大されています。
現在でも12万人を超える収容者がその中で苦しんでいるのです。
自分達には何も出来ない無力さは感じますが、
- 知っているということ
- 全く知らないということ
この両者では何かが違うような気がします。
今後の人生での選択でも、感情の浮き沈みがあった時でも、思い出してしまうような人間の本質を問われる映画でした。
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