ケニアで中級レベル以上の大学を卒業したものの、念願の仕事には付けない若者が選ぶ仕事のひとつに「アカデミック・ライター」というものがあります。
ランガットさん(30歳)もケニアの中級レベルの大学を卒業した後、「統計関係」の仕事に就きたいと思っていましたが思うように就職できませんでした。
そして彼が進んだ道が「アカデミック・ライター」という道でした。
なんだか、響きもカッコいいお仕事ですが、実態は「不正行為の請負業」なのです!
アカデミック・ライターとはどんな仕事なのでしょうか…。
「主に欧米の裕福な学生に代わってエッセーを書いたり、宿題をしたり、場合によっては試験を受ける仕事を請け負う」仕事なのです!
どれだけの人数がこの仕事に携わっているかは、統計が出ている訳ではないそうですが、ランガットさんが受け取る報酬は、学生一人当たり月に200〜300米ドルを受け取っているそうです。
ほとんどが看護や医療についてのエッセーと言うことです。
↑ 企業もそこまで多くはないのでしょうか…ケニアでの就職も大変なんですね…
月に200ドル位だったらバイト代や仕送りでなんとでもなりそうですね!
この代筆とも言える不正な請負業はかなり昔から存在していましたが、過去10年間でかなり膨らんできた市場だったようです。
昨今のAIブームで、なんとAIが彼らの仕事を奪う形になってきたと言います。
ランガットさんも、AIの存在に自分達の仕事を乗っ取られてしまうのではないか…ということが心配だと言います。
実際に「オンライン学習プラットフォーム、スタディ・ドット・コム」という企業が、今年1月に1000人以上の学生を対象に実施した調査によると、約89%の学生が宿題などでチャットGPTのお世話になったことが明らかになりました。
「アカデミック・ライター」はケニアの闇産業と言える表に出てくる仕事ではないので「保障」などは皆無です。
ランガットさん自身もこのチャットGPTの登場で、収入がガクッと減ってしまったそうです。
今ランガットさんは未来についてあることに着目し、期待していると言います。
AIにも特徴があって、大学や教授側が「これはAIの文章だ」と見抜き、成績を下げるという厳しい対処をしてくれるようになることだそうです。
確かに「不正してるな!」ということがAIだからこそバレてしまうのでは?ということなんですね!
ランガットさんのような人間が一から考えた文章には「AI」独特の表現や展開を使用することはあり得ません。
代筆する彼らが「AI」を使用してしまえば、それはもう「本末転倒」ですけど…(^^;)
↑ 大自然の中…というイメージがあるケニアですが、ナイロビなどは本当に大都会です。
実際に、一部の大学や教授は「AIの文章」をしっかり識別できるようで、最近では少しずつ依頼が戻ってきたと言います。
こんなところでも「AIと人間のせめぎ合い」が行われていることが、兎に角ビックリでした!
そもそも欧米の看護・医療の学生たちよ!
「自分で書いて堂々と提出しなさいよ!」と思ってしまいますが、このような仕事が成り立ってしまうのが現状なのでしょう…(´;ω;`)
ケニアの大学生はITに強く、英語を話す大卒者が多いため、世界中の学生から依頼が殺到しているのだそうです。
↑ 写真はイメージですが、なかなか思った仕事に就けない現状がケニアにもありそうです…。
これからもケニアは「アカデミック・ライティング」の中心地であり続けるのでしょうか。
世界中の大学生はやっぱり少しでも「遊びたい!!」のでしょうね…(*´∀`)アハハ
日本も世界もその辺りは一緒なのかもしれませんが、AIの存在が色々なところで影響を及ぼしている現況がとても興味深いと思いました。
ちなみに月収で言うと、言わば「ゴーストライター」とも言える彼らは月4000〜200万ケニア・シリング(日本円で約4,000円〜200万円)と差もとても大きいようです。
AIの進化と共に、次の段階ではAIの方が見破れないほど個性的な文章を作るようになるのでしょうか…。
影のライターという悲しい現実があるんだな…と知り、日本の学生もどの程度がAIの力を借りているのだろうと気になりました。
もしかして日本人も英語の論文などはケニアのアカデミック・ライターに依頼していたりするのでしょうか…?!
彼らにとっては仕事なので「依頼してくる大学生」はクライアントになるのでしょうが…。
だったら「大卒」ということの意味が益々なくなってしまうような気がします…。
闇は深そうです…(^^;)