先日、TVのニュースか何かで役所広司さんが「日本映画の継続のために、若い才能の育成を。」と語っておられました。
私には割と身近な話ですが、身内に役者がいない方にはあまりピンと来ない内容なのかもしれません。
役所さんの目に映る「日本の映画界」の現場は決して恵まれた環境ではないと話されていました。
↑ https://www.jiji.com/jc/article?k=2023011000889&g=etm&p=20230110en12&rel=pvより引用させていただきました
日本の企業には労災がありますが、役者が怪我をしても病気になっても保障は一切ありません。
当然厚生年金もありませんし、何かあったら「仕事を辞める」しかないというのが現状です。
↑ リスクは普通の仕事より高そうなのにね…
それに対しても、もっと映画界や俳優業全体で「しくみ」を作るべきではないか…という議論も湧き上がっています。
役所さんが今一番心を痛めているのが、「映画を作る人材が育っていない」ということのようです。
昔は映画会社の社員が俳優として働いており、もう少し余裕があったのに、今はみんながフリーです。
今回のコロナのようなアクシデントがあると急に制作はストップしちゃって仕事が無くなります。
才能があったとしても、そんな理由で他の仕事に移行しなくてはならない若い俳優を沢山みてきたと話されていました。
日本映画は韓国映画に負けている…。
私自身はそんな風に思っています。
お茶の間に流れてしまうドラマに制約が付くのはわかりますが、映画の世界でも「過激すぎる」「ハレンチ過ぎる」「陰湿すぎる」というようなマイナスな評価が付いてまわるのもちょっと行き過ぎな気もします。
自由な表現をもっと「脚本」側も、「制作」側も、「監督」側も行って良いと思っています。
役所さんがおっしゃっている部分の話でも、
- 文芸作品は当たらない
- 時代劇はお金だけかかって人気が無い
というジンクスのようなものがあるとおっしゃっていましたが、そういった作品が減ってしまうことも虚しい気持ちになります。
文芸ものや時代劇のように、現代からかけ離れた作品で若い俳優が育つのに、そういう場がどんどん減ってしまって、次に繋がる俳優が育たないのでは勿体ないですね…。
そしてこうもおっしゃっています。
「目の前の利益だけでなく、映画界の未来を考えられるプロデューサーに出てきてほしい」と…。
私も本当にそう思っています。
若手のイケメン俳優(ジャニーズとか)を主役にもってくるのなら、そういう文芸作品や時代劇に起用して、そういう映画の良さも世に知らしめて欲しいです。
日本映画の未来を考えると問題は山積みなのではないでしょうか…。
- 若手のギャラの低さ
- 不安定な雇用形態
- 医療的側面の保障がない
- パンデミックなどの突発的なことに弱い
などなど…。
↑ 本当に今なんじゃないかな…日本の映画界が変わるとしたら…
実は俳優陣や監督、脚本、制作の裏には、衣装・メイク・小道具・ロケハン・美術・音楽・音響・照明などの脇で支えて下さるスタッフの力がもの凄く大事なんですね。
そこを含めると莫大な予算が必要になるのも事実です。
最近映画に行くと、コロナ前よりお客さんが多く入っている印象です。
それも、一部の有名なハリウッドスターが出る映画だけではないようです。
アジア映画も、日本映画も、結構お客さんは注目し始めているのではないだろうか…と思ったりします。
今がチャンスなのかもしれません!
山田孝之、のん、斎藤工、池田エライザなどの俳優さんが監督業にも挑戦するようです。
- 映画界でも今春には性の加害報道なども相次いだこと
- VODの乱立で音楽のような著作権がない俳優という仕事
などの側面から、もう少しクリーンで正当な映画界をと動いたと言われています。
↑ https://www.oricon.co.jp/special/59080/より引用させていただきました
今は映画業界の過渡期なのかもしれません。
現在役者を志望する若者の中で9割がその道を諦めています。
バイトをしながら家族を養っている若手俳優は山のようにいます。(当然我が家の息子もそうです)
特に舞台俳優のみで頑張っていらっしゃる役者さんは、チケットノルマがあったりで、食べていくことも厳しい状況です。
こういうムーブメントで、少しでも現状が変わっていけば、日本でも韓国やハリウッドに負けないような映画が賞を取る日も来るのかもしれません。
↑ 満員の映画館もここのところ数回ですが経験しました
舞台やミュージカルを楽しむお客さんが増えていくことも課題の一つです。
役所さんは『銀河鉄道の父』 の公開を間近に控えています。
唯一無二の世界観で描かれる「銀河鉄道の父」。
これは是非観なくては!!と思っています。
役者の待遇ばかりを求めていてはいけません…
やっぱり俳優は「生活の中での全ての経験」を演技に活かして、泣けと言われても「こんな時は涙も出ないですよね!」としっかり言える「本物」を目指していかないといけないと思います。
バイトなどの副業もゆくゆくは、その経験からくる演技の一助になると思っています。
映画好きの私は、本当に日本の映画界の未来を心配してしまうのです…!