本当は6月ぐらいに映画館で観たかった作品でもあります!
小学校で配られる「学級通信」の紙面に4コマ漫画の作成を頼まれていた藤野だったが、先生に来月は「京本」に代わってもらっていいか?と聞かれる。
小4で自分より絵が上手い生徒はいる訳ないと思っていた藤野は、次月号の通信で初めて敗北を感じてしまうのです。
京本という生徒は不登校で、はっきり言って顔も知らなかったが、6年生の卒業式が終わると先生に「卒業証書を京本に届けてくれ…」と頼まれてしまう。
京本の家に着いて「すみませーん」と声をかけるも玄関の鍵はかかっておらず、藤野は京本の部屋の前に立つ。
部屋に続く廊下には数多くのスケッチブックが山積みにされていました。
その上にあった4コマ漫画の紙にササッと漫画を書いた藤野でしたが、やっぱり何も行動せずに帰ろうとした。(4コマの内容は是非作品で観てほしいです)
その紙はすっと彼女の手から落ち、ドアの下の隙間から部屋に入り込んでしまった。
ドキッとした藤野はそのまま逃げ帰るように京本の家を飛び出した。
京本は藤野を追いかけて伝えます。
↑ https://natalie.mu/comic/gallery/news/582109/2314282より引用させていただきました
「藤野先生…ずっと4コマ漫画を読んで、先生に憧れていました!」
サインをせがむ京本に上着の背中にサインする藤野。
(帰り道の藤野の歩き方にここは注目してほしい!)
二人の関係はここから大きく変わっていきます。
京本は背景を中心に描き、2人は一緒に漫画を描きはじめます。
↑ https://natalie.mu/comic/gallery/news/582109/2361522#google_vignetteより引用させていただきました
藤野は京本を外へ連れ出し、普通の中学生がそうするように街中で歩き食いをしたり、自然と戯れたりします。
2人で共同で描いた漫画を出版社のコンクールに出し、見事「佳作」に輝いたのです。
↑ https://moviewalker.jp/news/article/1205032/より引用させていただきました
ペンネームは「藤野キョウ」といい、二人はこれからもずっと一緒に漫画を描き続けます。
ところが大学進学のことで、京本は藤野に自分の未来の希望を話します。
「絵の勉強をしたいので美大に進む」という決断に藤野は悲しみと怒りを覚えます。
こうして二人は離れていくのですが、藤野はその後も漫画を描き続け、連載を描くまでに成長します。
そんな藤本がアシスタントに不満を感じるシーンなどは、頭の中には常に京本の絵があるのだろうな…と感じることができます。
そんなある日、ニュースが流れます。
↑ https://natalie.mu/comic/gallery/news/582109/2314279より引用させていただきました
山形の美大に進んだ京本の学校で悲しい事件が起こり、京本は犯人に殺されてしまうのです。
その犯人の言い分は、「ネットに公開していた絵をパクられた」というものでした。
これは2019年に起きた京アニ放火殺人事件を思い起こさせ、描写があまりにも似ている気がしました。
2021年にこの漫画がジャンプ+で発表されているので、その影響は受けていると思います。
葬儀の後に藤野は京本の部屋の前に行きます。
「京本が死んだのは自分のせいだ!」
↑ https://gamebiz.jp/news/393746より引用させていただきました
京本を漫画に巻き込まなければ→京本は部屋から出なかった→美大にいくこともなかった→殺されていない
という発想なんだと思います。
藤野の脳内には新たなパラレルワールドが展開されます。
それは美大には行っていたけど空手をやっていた藤野がたまたま事件に出くわすというもの。
犯人が京本に襲い掛かるところを後ろから飛び蹴りして助けるというシチュエーションです。
こうであればその時が京本との始めての出会いであり、そこから二人は絵で繋がっていくということになります。
パラレルワールドは逃避でもありますが、彼女が小学校卒業の時に描いてドアの隙間から入り込んだ4コマ漫画が最初の一コマだけがドアの中へ舞いこんでいたら…そうなっていたかもしれない…という展開でした。
この後、藤野はどのようにこの苦しみから脱していくのか?
↑ 漫画も今ではタッチペンで描くのでしょうね…
漫画を描くことを続けられるのか…1時間もない映画ですので、是非観ていただきたいと思います。
↑ https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2410/22/news138.htmlより引用させていただきました
私はこの映画で、小学生の頃の息子とH君という友人のことを思い出しました。
二人は漫画リレーをやっていて、H君はものすごく絵が上手い友人でした。
「二人で漫画家になる」そんな夢を聞いたことがあります。
ダンスをやめてそっちに転身か?と思ったりしましたが、プログラムや雑誌などのインタビューなどで「漫画家になろうと思ったのですが…」と書いているので、ある程度本気だったのかもしれません(^^;)
H君は少年ジャンプの漫画コンクールで佳作を取り、漫画家の道を進んでいます。
息子は全然違う道に進みましたが、今でも絵を描いています。
高校の終わりごろに描いた絵をみると、「どっか病んでる?」と思ったりしましたが、彼なりに進路とかで悩んでいたのかもしれませんね…。(*´∇`*)
(ちなみに私のブログアイコンの月を見上げる月の絵は息子が書いたものです)
↑ 他にも心臓の絵とか…うーん、何とも言えない‥(;´Д`)
そんな経緯があったので、全く他人事のような視点にはなれない映画でした。
藤野は大きなものを失いましたが、一番最初のファンでもあった京本が、彼女の中で生き続けている…そんな風に感じられるラストも嫌いじゃありません!