こんな国が世の中にあるのも実はつい最近まで知りませんでした。
ミクロ国家(ミクロネーション)と言われるこれらの国には主権が認められていません。
独立国家ではあるものの、各国の政府や国際連合をはじめとする主要国際機関によって承認されてはいないのです。
↑ 世界にはまだまだ名も知れない小さい国々があるのですね…
この国が出来たのにも不思議な経緯がありました。
1969年に西オーストラリア州政府が、小麦の販売量の割り当てを決定した際にレオナード・ケースリー氏が経営する農場に割り当てられた小麦の販売量が不十分だったことが発端です。
これを不服としてケースリーは周りの農家と結託して法案撤回の請願書を提出したのですが、請願書は無視され、更に政府は地方の農地を取り消す法案の審議を進めたのです。
これに腹を立てたケースリーは、1970年に自身が所有する農場を含む土地を「ハット・リバー公国」としてオーストラリアからの独立を宣言しました。
宣言はしたものの未承認のまま何年も存続していました。
こんなことが出来ちゃうオーストラリアという国もまたとっても不思議な感じがします。
国の大きさはマカオの2倍とちょっと位ですが、敷地のほとんどが農場です。
日本ではいくらなんでも一個人のおじさんのワガママから国家を作っちゃうことなんて出来ませんよね…。
↑ https://www.cnn.co.jp/world/35157991.htmlより引用させていただきました
入国審査をするのも国王自らだというのですからビックリですね!
国民は家族と使用人で20人そこそこでした。
入園料みたいなものが「ビザ代」(4ドル)として取られますが、ここからはエアメールも出せましたし、普通に紙幣もありました。
↑ https://tabippo.net/principality-of-hutt-river/より引用させていただきました
こちらが国旗です!
日本の観光客は結構歓迎されていたようです。
古い日本の紙幣なども飾ってあったようなので、日本人も相当数が訪れていたのだと思います。
↑ https://tabippo.net/principality-of-hutt-river/より引用させていただきました
国王自らイミグレーションに立つ光景も面白いですね!
こんな観光地でもあった「ハットリバー公国」ですが、このコロナ渦で観光収入が減るなど経済が影響を受けた上、納税額も膨らんだこともあり、オーストラリアへの屈服を表明せざるを得なくなってしまったのです。
2019年にレオナード・ケースリー公が亡くなった後、息子さんは未納の税金が日本円で2億2,800万ぐらいあることを知り、土地を売ることに同意したというのです。
一応ひとつの国ではあったものの、このような国のことをミクロ国家と呼んでいます。
ミクロ国家とは、主権国家を主張するものの、法律上は独立国とみなされていない国のことで、だからこそ納税の義務もあったということなんですね。
そこは「バチカン市国」のように国際的に主権が認められている国とは全く違うのです。
遅かれ早かれいつかはこうなる運命だった小さな国ですが、こういう国が50年も存続したことに驚いてしまいます。
オーストラリアのバースからレンタカーを借りて行くか、なんども乗り継いで飛行機でジェラルトン空港に行くしかないという遠さなので、観光で行くこともなかなかあり得ない場所ではあります。
実はこのようなミクロ国家(ミクロネーション)はハットリバー公国だけではありません。
- オーストリアのウィーンにあるグーゲル・ムーゲル共和国は、芸術家のエドウィン・リップブルガーが建てた球体の家が領土です。
- イギリスのシーランド公国はサフォーク州沖の建造物が領土で元イギリス軍少尉が所有していました。
↑ https://worldadventurer.hatenablog.com/entry/2019/11/07/054451より引用させていただきました
グーゲル・ムーゲル共和国です
↑ https://www.afpbb.com/articles/-/3381323より引用させていただきました
シーランド公国です。
いずれも亡き後は息子さんが受け継いで国自体は存続しているそうです。
自分の国を立ち上げても、きっといいことばかりではないと思いますし、苦労も多いのではないでしょうか。
国への抗議が原動力になって立ち上げた国もありますが、自分の国に独自の国旗や紙幣を持つ気分というのはどういうものなのでしょう。
とても不思議な気分になります…('◇')ゞ