花見の後の映画は「ノマドランド」を観てきました。
この作品はアカデミー賞主要6部門でノミネートされている話題の映画です。
原作となった本はノンフィクション「ノマド:漂流する高齢労働者たち」という本で、アメリカで発表されるや大反響になったというものです。
様々な理由で家を持たず、キャンピングカーで生活する高齢者達をドキュメンタリーに近い撮り方で追っています。
↑ 娯楽でのキャンプとは全然違う風景を観ることになります。
主演のフランシス・マクドーマンドは「スリービルボード」という映画でその演技を始めてみたのですが、本当にフィクションではないと思わせるような演技をする方です。
今回も見事にその「ノンフィクション」と「フィクション」の境界線を往く新しいジャンルの映画としては、彼女以外にはあり得ないのではないかと思うぐらいのハマリ役でした。
実際のノマドワーカーの中に身を投じ、一緒に過ごしながらの撮影なので、自分がどんどんその生活に馴染んでいくような感覚を覚えたのではないかと想像します。
その映像や音楽も全体的に明るい感じではありません。
日本で使っている「ノマド」という言葉自体が、結構新しいと感じています。
英語では「遊牧民」の意味で使われてきた言葉ですが、日本では「様々な場所で仕事をするイカシタ働き方をする成功者」的な扱いで使われています。
(特にアフィリエイトを中心にSNSやネット上でお仕事されている人をこの様に呼ぶことも多いようです)
でも、この映画では「遊牧民」に近いものだと思ってください
行きついた街で、「短期労働者募集」を探して応募し、その駐車場代込みの安い賃金で働く。
その繰り返しを色々な土地で行い、生活費を稼いでいるのです。
そこに集まったノマドワーカー同士が1つのコミュニティーを形成するので、「ノマドランド」が出来上がるのです。
彼らの出会いは「一期一会」のようでもありますが、決して「別れ」は告げないのです。
- 「また、近いうちに」
- 「また、いつかね」
- 「また、元気で会いましょう」
そんな別れを繰り返し、次の土地へと移動していきます。
余命を宣告された女性も、家に家族を残してきている男性も、住み家を追い出されて1人になった未亡人もいます。
↑ https://searchlightpictures.jp/movie/nomadland.htmlより引用させていただきました
そういう各人の事情よりも、ここでは、その大自然との共存と個々の生き方が見事に描かれています。
沈む夕日、降り積もる雪、凍る大地、凄まじい風。
年寄りには容赦ない大自然ですが、その美しさに魅了される人々がいるのもまた確かなことなんです。
安住の地より、この不安定なキャンピングカーでの遊牧生活を自ら選んでいく高齢者の心を覗いてしまったような気持ちになります。
↑ https://searchlightpictures.jp/movie/nomadland.htmlより引用させていただきました
そして働き場所として、巨大な「Amazon」の配送センターが何度か出てくるのですが、そこもとってもオモシロかったです。
主人公を中心としたストーリーはありますが、ストーリーに拘ることなくその「生き方」に注目してみると、登場人物全てが主人公になり得る映画でした。
「ノマド」生活。
憧れの視点で書かれたツイートをみかけることも多いですが、私の中では常にこの「ノマドランド」の映像が今後は頭に流れてしまうように思います。
彼女の言葉で忘れられない一言がありました。
「私はホームレスじゃないのよ!ハウスレスなだけよ(#^^#)」
映画が終わったのが夜の20時過ぎだったので、9時まで営業のこのご時世ではどこも開いていません。
唯一、私が知ってたのは、このご時世でも「ホープ軒」は24時間営業!ということだったので提案して寄ってきました。
国立競技場の脇に位置する、黄色の看板が目印のラーメン店です。
頼んだのは2人とも普通の「ラーメン」でしたが、これが一日中動いた身体にじわっと染みわたるような美味しさでした。
↑ こちらが普通の「ラーメン」です。ネギは好きなだけ入れられます。
↑ 置いてあるのは「胡椒」「にんにく」「豆板醤」のみです。
「ホープ軒」については以前も記事にしているので、詳細は省かせていただきます。
↓ 息子とホープ軒に寄った時の記事はこちら
↑ イオン板橋の屋上駐車場からの眺めです!いいよね~
「ノマドランド」は、アカデミー賞でどんな賞を受賞するかはわからないですが、何かしら映画史には残る作品だったのではないかと思います。
「生きる場所」も「死にゆく場所」も自分で決める!
彼らの強い意思も感じられましたが、彼らは本当にそういう生活を最初から望んでいたでしょうか。
アメリカの失業者の問題、公的年金の問題、高齢者の問題が詰まった映画だなと思いました。( *´艸`)